大人の発達当事者の私がお勧めしたい!1人1人の発達・発育に合わせた、全国から参加可能な小中生向け教育プログラム「i.Dare」の成果報告書を,当事者の親御さん向けに改めて記事にしてみました!

こんにちは、ADHD/ASD当事者ゆらりと申します

通院しながら一般枠の正規雇用で働いています(雇用主以外の職場の方は私の当事者性を知っています)

今回の記事は、当事者の子供さんも過去に参加している教育プログラム「i.Dare」の御紹介です

当事者性を持っている仲間の方々も「生活が楽になって欲しい」と想いながら過ごしていた折りに

ご縁で、i.Dareを運営している代表理事の方のお話を聞く機会がありました

i.Dareは、経済産業省の実証事業「未来の教室プロジェクト」に2年連続で選ばれています

※実証事業とは:新しい技術/システム/制度などの有効性を実験する取り組み

2019年度の成果報告書が61ページ、2020年度の成果報告書が74ページ…

ページ数に圧倒されながら、読めば読むほど「当事者に必要な要素が沢山つまってる!」としか思いませんでした

スタッフさんからお話を聞いて、詳細な内容の成果報告書を読んで

これは是非知って頂きたい、お勧めしたい、と思って記事にしました

必要な方に届きますように…

まず「i.Dare」って?

NPO法人SOMAが運営する、教育プログラムです

小学4年生~中学3年生程度の年齢の子供さん(と、その保護者の方)が対象です

※現在は小学3年生~大人まで対象としています

対象年齢以下の受け入れ実績あり。要相談してください、との事

プログラムを通して、参加している子供さん達が、自分で学んでいける事、自分で身の回りを整えられるようになる事を目指しています

オンラインの活動と、オフラインのキャラバン(合宿)で構成されています

キャラバンだけ参加するプログラムもあります

キャラバンを体験してから

i.Dare(オンラインの活動+オフラインのキャラバン)の参加を決める方も多いそうです

2020年度の参加者は17名

その内10名はホームスクーリング(学校に通わず、家庭内で学習する)を日常としていました

7名は、i.Dareと学校、両方を利用する形を取っていました(資料参考)

以下から「i.Dareは当事者の子供さんにも合うんじゃないか」「i.Dareみたいな環境が必要なんじゃないか」と、私が感じた理由を書いています

本人が本人らしく過ごせる①:運営スタッフの方が私の当事者性を知っても、態度が特に変わらなかった

代表の方がパネラーのイベントで話を聞いた後、連絡を取る用事があり

i.Dareに当事者の子供さんが参加していた事をイベントで聞いていたし、どんな反応をするのかな、と思い

当事者と伝えると

「自己紹介の一部を聞いた感じ」で、特に問題視する訳でも無く、かといって無視する訳でも無く接してくださいました

働いていて思いますが「この人こんな人」の周りの認識が、発達当事者が一番負担が掛からないと感じます

「この人は障害者だ」とやたら優しく接されたり、逆に「差別・区別しない!」という姿勢で特性の強さを全く考慮されない環境だと、本人が辛いです

私は職場で当事者と隠して、自分が短期記憶12歳程度の中、平均多数派の方々と足並みを揃えるのは不可能でした

(で、仕事が出来ない情けなさに耐え切れず、当事者である事を話しました)

i.Dareのスタッフの方々なら、当事者の子供さんも安心して過ごせるだろうな、と思います

ちなみに「発達・発育の仕方やタイミングは人それぞれ」という認識の方々なので

特性の事を伝えなくても「そんな子」と思って接してくださると思いますし

特性の事を伝えたい場合、私が当事者と伝えた時と同じように

「自己紹介の一部」のようにフラットに聞いて頂けると思います

本人が本人らしく過ごせる②:自分の気持ち・状態を伝える時間(チェックイン)に、表現方法が自由

オンラインでもキャラバン(合宿)でも、チェックインの時間があります

自分の気持ちを言葉にする事自体が苦手な子供さんも多くいると思いますが

2020年度のi.Dareキャラバンでは、100色ある折り紙で自分の思いを表現出来るようにもしていた所

他の参加者を色でイメージして、その色を互いに交換するコミュニケーションも起こっていたそうです

言語表現が苦手な当事者の方と当事者の会で喋ると、口下手な事自体に劣等感(コンプレックス)を持っている方が居ます

目が合わないのは気にならないのですが(私も合わせられないタイプですし)

背中を丸めて自信が無い事が雰囲気で伝わってきて、異様に口数が少ない方を相手にすると

口下手より、その劣等感自体が「他者と関係性を作る」事の妨げになっているんじゃ?と思います

言語表現だけが、他人との意思疎通の道具じゃないんですけどね

「口下手は悪い事である」と思わなくて良い体験が出来る事は、その子供さんの自信になると感じます

自己理解/試行錯誤の機会が沢山ある①:キャラバン(合宿)までの交通手段が自分で決められる

2020年度のi.Dareキャラバン(合宿)は、東北から沖縄までの地域の子供達が参加したそうです

合宿地までの交通手段は、自分で決めます

鉄道が好きな子は各駅停車で合宿地まで来たんだとか

自分で交通手段を決める事、当事者の子供さんにとって重要なポイントと感じます

行く道のり自体が、自己理解と、次に何処かに行く時の自信や学びになるからです

大人でも、頻繁に遅刻する/迷子になる当事者と、全く問題無い当事者が居ますが

分かれ目は「自分の癖の対策を立てる事が出来ているか否か」です

私は方向音痴なのですが、特に初めての場所に行く時

電車に乗り遅れる前提/道に迷う前提で出発時間を決めたり、交通ルートを決めたりしています

そして、紙に行程表を書き出しています(乗る予定の電車の、前後の電車の事も)

スマホに行程表をメモする当事者も居ますが

行程表を確認する為、スマホを触っていたら乗る予定の電車が過ぎ去った、なんて事があったので

私は紙のメモで、すぐ見れるようにしています

ですが、目的地に向かっている最中に書き出した紙のメモを何故か無くす時があるので

その時の為にスマホで行程表をスクショしています

これで今では95%大丈夫です

95%に持っていくまで、私は上記に書いた通り、やらかしています

特性はそれぞれ違うので、迷子/遅刻対策もバラバラですが(立てなくて良い当事者も居ますし)

自分はどんな癖があるか、自分で体験しないと、自己理解も出来ないし、その癖の対策も立てる事が出来ません…

2020年のi.Dareでは、オンラインの時間で、参加者の皆と一緒に、行程表を作ったり、交通費の計算をしたりしたようです

一人で電車や飛行機に乗った事が無い子供さん、そもそも保護者や兄弟姉妹と離れて合宿をした事が無い子供さんが居たようですが

オンラインで丁寧に事前準備をしたようで、子供さん全員が合宿地に辿り着いたそうです

キャラバンに行くまでの道のり自体も、当事者の子供さんの糧になると思います

子供さんと一緒に、道のりを考えても良いかも知れません

自己理解/試行錯誤の機会が沢山ある②:あらゆる時間に「自分の出来るやり方を探す」が出来る

癖が強くて、得意/不得意・出来る/出来ないの差が激しい当事者ですが

工夫の仕方、道具の使い方で「やる事出来る」「したい事する」を叶えて生活している方も多く居ます

ただ、「世の中にある標準的な方法」じゃ無い事も多くあります

体力が無く、疲れ過ぎて立ち上がる気力を相当な割合で失くす当事者の中には

ゴミ箱の所へ移動して、ゴミを捨てる

これが出来ない事が良く起こりますが

手元に置いているマジックハンドでゴミ箱を引き寄せてゴミを捨てる

この方法を取って生活している当事者も居ます

「出来ないなら、じゃあどうするか?」の試行錯誤の結果です

マジックハンド

「この方法なら出来る」「この道具を使えばやれる」を自分で探す、試行錯誤する必要があります

キャラバン(合宿)では、自分達のご飯を毎食自分達で作ります

キャラバンの料理の時間に、子供さん達が「試行錯誤する事」自体を体得しているなあ、と感じます

切る作業1つ取っても、一般的な「猫の手の形にして、手を野菜に添えて切る」をせずに包丁を子供達が使っていても

ダメ!とスタッフの方は言わずに、そのまま見守ってくれます(本当に危ない時は止めます)

その内に、周りの切り方が上手い子供さんのやり方を真似してみたり

「包丁を使う事がどうしても苦手だ」と自分で思った子供さんは、キッチンばさみやスライサーを使って食材を切る事をしています

スタッフの方は、ほとんど指示していません。子供さん達は自分でやり方を見つけていった様子です

「食材を切る」という「やり方」を、一般的な「猫の手の形にして、手を野菜に添えて切る」に限定されていない所

更に、切る「手段」を包丁に限定されない所

スタッフの方が急かさず見守ってくれている所

「色んな制限をされる事が無く、自由に自分の思い、考えた事を試せる」試行錯誤の機会がi.Dareには料理以外の場面でも沢山あります

(詳しくは成果報告書をご覧ください、記事の最後にリンク貼っています)

他人との関係をどう作るか?の体験をする機会が沢山ある:主体性を育む環境が作られている

他人との関係を築きにくい側面を当事者は持っている部分があるのは、否めません

実際、私も仕事の失敗続きで泣き叫んだので(泣き叫ばせたので)、身に染みています・・・(汗)

ですが、人との関わりの中で、その「症状」が「特性」言って差し支えなくなるようです

2019年度創立から所属しているコミュニティの、zoomの集まりで

「私はADHDの要素が強いですか?ASDの要素が強いですか?」と聞いてみました

他の方から、どう見られているのかな、とふと気になったので、何気なく・・・

その時の参加者は5人程居ましたが、結論は「今は、わからない」でした

当事者を見慣れている方が、創立当初のイベントで私と会っているのですが

その時は、私を見た瞬間「ASDの子」だな、とわかる程、特徴が思いっ切り出ていたようです

今は、どちらかと言えばASD要素が強いけど、どっちもバランスを上手くとって強みとして発揮してる感じを受けるそうです

(当の本人の私は実感が無いのですが)他の方から見て、現在、そう感じるのであれば「障害者の要素」が結構抜けているんでしょう

私が、その対話イベントから3年程、何をしてきたかと振り返ると・・・

年齢・性別に関係無く、発達当事者のコミュニティにこだわる事無く、色んな場所(リアルもネットも)に興味が湧いたら顔を出していました

初対面の方と喋ったり、何か一緒に活動したり・・・

その度に「この場所で、この人と上手くやっていくには、どう振舞おう?」と漠然と思いながら動いていました

キャラバン(合宿)の事例ですが、参加者が自分の好きなおかずの量を取っていく内に

全員の分が足りなくなった、という事態になった時の事です

「量を多く取った人が悪い!」という犯人探しをする訳では無く、足りなくなった事実を受け止めて

「じゃあ、どうするか?」の話し合いで解決したそうです

この事態の後には「足りなくなるかも知れないから、後でおかわりを取ろう」とお互いに声を掛け合う等の気遣いで

分量が足りなくなる事態の事前回避をしている様子があったそうです

上記の事例の子供さん達の声掛けの気遣いは「自分もその場を作っている内の1人なんだ」と意識出来た結果だと感じます

この感覚は、他の人と一緒に何かをする、という体験でしか培われないと思います

・・・で「犯人探し」にならない環境、という所が重要です

当事者、良くやらかすので「犯人」にされがちで、自分に自信を失う機会が只でさえ多いと感じます

犯人探しが始まりそうになったり、誰かが誰かを責めだしたら、そこはスタッフさんが調整してくれると思います

気持ちに余裕を持ちながら「どうしたら上手く皆と過ごせるだろう?」

そう考えられる、i.Dareのような環境で過ごす事は大切と感じます

子供さんの大切な環境である「保護者さん自身」をケアする機会がある:オンライン保護者会の存在

正直、当事者の行動、意味不明ですよね…

働きだして困り始め、自分のADHD/ASDを知り、自己理解が進むまで、私自身が意味不明でした

当事者の子供さんと接する機会はあまり無いのですが

他の大人当事者と関わっていても、想像の斜め上をいく行動を取る人も居て

当事者の私も困惑する時は多々ありますし

父親が中々強烈なASD特徴があり、想像の死角を突いてきます

行動の推測が立ちません

いくら可愛い子供さんと言えど

四六時中の相手は疲れて余裕が無くなる事は、想像が容易に出来ます…(汗)

自分に余裕の無い状態で誰かと関わっていても、良い方向には向かい辛いです

自分の考えや悩みを誰かに聞いて貰う機会を作ったり

自分自身をリラックスさせる時間が必要です(…中々取れないと思います…)

I.Dareのプログラムの中にある週1回の「オンライン保護者会」のような

ご自身の考え、悩みを否定される事の無い集まりは

保護者さん自身をケアする良い機会になると感じています

そういった場所を見付ける事も大切と思います

当事者の親御さんの会に行くのも良いと思いますし

(ただ、不要なアドバイスで傷付いちゃう時もあるそうなのですが…)

カウンセラーさんは、自分自身を見つめ直すお手伝いをしてくれる方です

カウンセリングを受けてみるのも良いかも知れないです

参加者さんの声

I.Dareのご案内

ここまでお読み頂き、ありがとうございます

この記事を書いた時には「I.Dare」は対象年齢が小学~中学生でしたが

2022年の夏から年齢という枠組みをやめています

代表理事の瀬戸さん曰く「そもそもSOMAの活動は、子供だからとか、大人だからとか、という枠組みで考えた事が無くて

本当に大切な事だけ伝えようとすると子供だからとか、大人だからとか、という枠組みで語れる事がほとんどないからです

ここから少しづつ理念もやり方も整えていきたいと思います」との事(ご本人のSNS投稿談)

SOMAの活動理念(ミッション)は「【ひと】が育つ環境をととのえる」でしたもんね、と納得して

色んな世代の方と一緒に過ごす機会なんて滅多に無いから、参加される方々全員の、かけがえの無い体験になるだろうな、と思いました

ご家族でも、子供さんだけでも、大人だけの参加も可能です

今回のi.Dareの舞台はこちら!(11/26募集締切)

i.Dareを開催しているNPO法人SOMAは「山結び」という自然環境再生プロジェクトを行っています

福岡県福津市にある宮地山にて、月に1度、活動に参加したい方々と一緒に山に登りながら、木や草が育つ斜面を作ったり、自然道の補修をしたり…

月に1度の手を入れる事をするだけで環境に変化が起こっているんだとか

天候や現場の状況に応じて作業をするそうで、毎回毎回、その場その場で「今、何が最もふさわしい答えかな」を、考えて選んで作業を決定している御様子

その「山結び」の活動場所にて、SOMA代表で生態学者の瀬戸さんと一緒に、観察力・意思決定力を養っていくそうです

御興味あれば、自分で正解を作っていく体験を是非してきてください

皆様にとって、かけがえの無い時間になりますように

お申し込みはこちらから

※今後の情報を受け取りたい方はメーリングリストの登録orSOMAのLINEお友達追加をして頂ければタイムリーにお手元に情報が届くので、ぜひどうぞ!

NPO法人SOMAのスタッフの方々と、皆様の素敵なご縁になりますように

ではまた

参考資料

2019年度成果報告書

2020年度成果報告書

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