発達障害と言わずにそれとなく自己紹介したら

こんにちは。ゆらりです。

9月下旬に、とあるイベントに参加しました。そこで脳神経が偏っています、と発達障害を仄めかすような言い方で自己紹介しました(成り行き的に…まあ、職場と関わりが全く無い場所だから大丈夫と思います)。その時の、いわゆる定型の方(多数派)の御反応を紹介します。

私は病院で診断を受けてから、当事者が集まる場に参加したり、脳科学や心理学、福祉関係の制度情報を調べたりする事に、プライベートの時間を結構な割合で使っています。だからどうしても、話の内容(知識)がそちらに偏ってしまいます。

なぜ詳しいのか、を聞かれると、相手が納得するような妥当な返事が返せないので、自分の脳が…と仄めかす感じで言いました。

発達障害の事を口に出さずに、上手い事「嘘では無い理由」が言えたら良いのにな、と思います。

世間的イメージが決して良くない発達障害、しかも私はクローズ就労で、バレると解雇の可能性があるので、大きな声で当事者だと言えないのが辛いですね。と、言うよりカミングアウトしない方が身の為なのですが…。

社交辞令かは判断付きかねましたが、個人的に「直接的に被害をこうむらなければ、どうという事は無いのかな?」と思いました。

当事者以外の方は【全員】マイナスイメ-ジを持っているのでは、と怯えている方、そんな事は無いという事を書きたいと思います。

この記事が気休めになれば幸いです。

多種多様な方と話してみよう交流会

大学の教授をしている方やフリーランスの方、学生さん、立場がバラバラ、知っている事もバラバラ…本当に誰でも参加可能のイベントでした。

イベントの告知サイトには、事前に申し込みする際には、日頃の関心テーマ・こんな事なら自分に聞いてという事を知らせてください、それを見て参加者が増えるかも、とありました(飛込参加もオッケーという自由な感じでしたが)。

心理学や薬学、私が気になっている事を知っているかも知れない方が参加されるようだったので、申し込みしました。

当日は自己紹介して、後は自由に話す、という感じでした。

私は「生まれつき脳神経が偏っている、普通と違うと医師から診断されて、それから自分の頭の事を知りたくて脳科学や発達心理学の事を調べてます、そちらに興味がある方、ぜひお話してください、よろしくお願いします」と自己紹介しました。

生まれつき脳神経が偏っている、普通と違うと医師から診断されて、と話したあたりで「おお…」と面白がっている反応がありました。

主に3人の方とお話しました。

1人目の方は保育士の方(か保育学を研究している方)で脳科学の事に興味を持たれていました。

子供の研究は観察者の主観がメインらしく、脳科学のように客観的なデータを入れたらもっと子供の事がわかりそう、と考えている方でした。

「心の理論」について話をした後、私の自己紹介に興味を持ったらしく、詳しく話を聞きたいと仰ってくださいました。

当事者だと告げると「メモを取ったりして対策をしているんですか?」と聞いてくださいました。

「対策立てれば当事者はそこそこ生活出来ている方もいます」とお話した後、別の方の自己紹介が始まったので、その方とはそこで会話が途切れました。

※心の理論とは、自分以外の立ち位置に立って物事を考える能力(他者視点取得)に基づき、他人の考えや行動を解釈する機能の事を指します。強弱があれASD傾向の方はこの機能が弱いという説があります。発達の話なので当然と言えば当然ですが、子供の成長過程に関する事柄でも登場するようですね。

発達障害に関して知っている様子で、突然当事者に会って「どう話せばよいかわからない」という戸惑いが感じられました。

もう少し時間があれば、保育の事に関する事も脳の発達の事も話せたのですが、タイミングがズレてしまいました。

2人目の方は研究所で薬の開発に携わっている方でした。「健康とは何か?」「健やか、という言葉の方がしっくりくるんじゃないか?」と仰られている方でした。

月に約300錠の薬を服用している身なので話を伺いたい、と私から話しかけました。

この方にも発達障害の事を話しました。研究者や昔の職人さんなんて「発達ぽい」、でも病院行くほどに困っていない発達の特徴・気質を持っている方々は居る…という「障害は状況・環境に依る」話に大きく頷いていらっしゃいました。

発達の事以外も話をしました。というより「健康とは何か?」という話の方を沢山しました。

話の終わりには「面白いね!バックボーンは何?」と私自身の事を聞かれました。

何故、そんな考え方をするのか?を聞かれる程、私は喋っていたのでしょう。

※バックボーンとは、性格や思想・信条などの背景にある、その人を「その人」にしている経験や過去の事を言います。

少なくとも、全面的に私を「障害者だ!」と意識していたら…可哀想な人とか、マイナスイメージを持たれたら…バックボーンなんて聞けないはずです。

当事者とは告げましたが、あまり【障害者】と意識をしないで話をしてくれた事に嬉しさを感じました。

また、この方に「脳はまだわからない事の方が多い(だから様々な可能性があるよ)」と励まして頂いたので、御礼を後日メールで送ると、忙しい中そのメールの返信をくださいました。

御礼を言いたかっただけだから御返信は不要です、と申し添えたにも関わらず。

当事者だろうと、こんなに丁寧に応対してくれる方もいらっしゃいます。

3人目の方は発明家の方でした。「脳神経が偏っている人?」と話しかけて頂きました。

この方からは「脳はなにげに不公平」という脳に関する書籍を御紹介頂きました。この記事を書いている現在2/3程読み終えていますが、エッセイを書籍化している為、数ページ読み切りが出来て内容も分かりやすい良書です。

驚いた事に、私の自己紹介で「発達障害」が頭に浮かんだようです。私に直接「発達障害?」と尋ねてくださいました。

後に知りましたが、交流会の3日前に「全国オルタナティブ協議会」という、医療(薬)だけに頼らず、環境調整などで精神障害者の方の現状を良くしよう、と活動している団体の方からの話を聞いていたそうです。

その話の中で日本の精神医療の実態を知り、何かせねばという思いの所に当事者らしき私が交流会に居たので話掛けたそうです。

興味を持って頂けて嬉しかったですね。自己紹介の時に仄めかして良かったかもと思った瞬間でした(だからと言って、自分の状況が悪くなるような状況で安易にカミングアウトは絶対勧めません。開催地が居住区から離れた所だったから私は仄めかしましたが…)

※日本では精神疾患病院の病床が約34万床。諸外国に比べて、人口比にして4倍以上。長期入院患者も世界的に類を見ない多さという事です。記事「精神病棟転換型施設を巡る「現実的議論」なるものの「うさん臭さ」 – 竹端寛」曰く、病院側の経営の都合で入院の必要も無いのに入院させられている人が多いようです。

私は「精神病院は満杯だから、入院して療養するのは中々大変。疾患が原因と思われる事で救急車で運ばれても、満床を理由に入院を断られたケースがある」と聞いた事もあったので、入院施設数が足りないと思っていました。

どうやら、不要な入院で本当に必要な方が利用出来ない状況と言った方が正確なようですね。

話が少しそれました。

無論この方はマイナスイメージの観念を持っていませんでした。発明に関する話をする機会があるから興味があれば来てね、イベントの御紹介頂きました。

※この方のイベントの内容も記事にしたいと考えています。特性上ADHD傾向の方は参考になる内容と思いました。しばしお待ちを。

私が帰る時間になってしまい、お別れしました。

感想

計3人の方とお話しましたが、悪い先入観を持っていない方、発達障害を詳しく知らない方だと「あんまり意識しないで」話をしていただけたかな、と思っています。実質的被害が無いからという事も大きいかも知れません。

そして交流会という場は、それぞれ立場・価値観が違う事が前提にあります。そもそも多数派や少数派という意識が場に無かったのも、敬遠されないで話して頂けた要因でしょうか。

もう1つ、当事者が当事者として話す時に大事だと感じたのは「自分が思いっきりネガティブイメージを持たずに話す」事です。開き直れ、って言ってないですよ。あまりにマイナス方面に気にしていると相手に思われたら、最初から好意的な相手でも遠慮しちゃいます。

という訳で、少しヒヤヒヤしながらも、居心地良く楽しく過ごしたゆらりでした。ではまた!

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