HyperActivityモードに対する嫌悪感から湧いてきた、ADHDな私の「投影」現象:誰にでも起こり得る心の働き

ひょんな事から、数年振りに、恩師の内の一人に逢いに行ける用事が出来た

自然と頭に思い浮かんだのが、卒業論文の面倒を見てくれた教授

とても御世話になったと思っている

卒業した文系の情報学分野で学んだ時間が、確実に今、活きていると断言出来る

絶対忙しいから、この恩師には会えないだろうけど

せめて感謝を伝えたいな。手紙を書こう

日付変更線が変わる間際に思い立ち

想うがままにスマホのメモ帳に下書きの言葉を綴った

朝起きて、もう一度自分が書いた文章を読み返す

これを読んで、教授はどう感じるのかな…?と考えを巡らすと

最初に思い浮かんだ言葉が「恐怖」だった

その次が「気味悪さ」

数年振りの教え子とは言えど、いや、数年振りだからこそ

その執着心は怖くない?いつまで覚えているんだよ

私の心の声がハッキリ言っていた

同時に消え入りそうな微かな声が「感謝されるって、嬉しいよね」と

頑張らないと聴こえないくらいの小さな主張をしていた

もう一つ、「人の感じ方なんて、人それぞれだよ」なんて言葉も頭に浮かぶ

「手紙を書かない」に大きく気持ちが傾きながら、小さな主張も無視出来ず

「感謝を伝えられる折角の機会を無駄にする気?」という声が、小さな主張に加勢してくるし

「人の感じ方なんて、人それぞれ」「ごもっとも。じゃあ、どうするんだ」という自問自答を数回繰り返した後

同じような立場を経験している理系研究者の方に「どう感じるか?」を聞いて参考にする、という結論に達した

教授との関係を説明して、手紙を投函する行為に対してどう思うか?をテキストで聞くと

<普通に嬉しいやつやん>

文面から「何を当たり前の事を聞いているの?」というようなトーンで、少し含み笑いしながら答えている、その人の顔が浮かんだ

私の中の小さな主張、消え入りそうな微かな声が、どうやらマトモな感覚らしい

なぜ「恐怖」「気味悪い」の主張が激しいのがわからなかったけど

その方の言葉を支えにして、手紙を書いた

数日後、手首のスマートウォッチの画面に教授の名前が通知されたのを見た瞬間、少し涙腺が緩んで安堵が広がった

ああ、少なくともマイナスな印象だったら連絡は来ない

「恐怖じゃない」「気味悪くない」の確証を得た気がしてホッとした

届いた文章を読んだら、今度は嬉しさが込み上げた

教授の心配りとご縁に感謝です

解説:私が「恐怖」と「気味悪い」と相手が感じるだろう…と推測した原因

ここまで読んで頂いた方は「思い込みが激しいな。怖がり過ぎだろう」と感じたんじゃないか、と思います

私自身も、その時「この感覚なんか変だな」とも思ってました

変と感じながら「怖がられるかも」「気味悪がられるかも」という懸念が全く消えなかったんです

ですので、同じ立場の経験者に聞きました

これは割と良く起こる心の働きみたいです。心理学の専門的な用語だと「投影」と言います

自分の気持ち・気質を「自分が持っている」と思うんじゃなく「別の誰かが持っている」と認識する、心の防衛機能の事を指します

例えば「AさんはBさんが嫌い」と思っているとします

でも、Aさんは信条として「どんな人でも嫌ってはいけない」という思想を同時に持っています

そうすると、AさんはBさんの事が嫌いなので「どんな人でも嫌わない自分」の自己否定になります

この状態はAさんにとって凄くストレスなので「Bさんが自分を嫌っている」と思うようになっていきます

そうするとAさんは「自分がBさんを嫌いなのは、Bさんが嫌ってくるからだよ」という、嫌う正当な理由が出来ます

こうして、Aさんは「どんな人でも嫌わない自分」を守れる訳です

この心の働きが「投影」です

この場合、Aさんは「何故か自分を嫌う人」が沢山出てきて辛くなっちゃいそうなのですが、自己否定より心理的負担が軽い(らしい)

他にも

・不倫している人が、自分の不倫行為の後ろめたさ(罪悪感)から「パートナーが悪いんだ」と投影する事によって、自分の罪悪感を打ち消す

・学歴コンプレックスを持っている保護者さんが子供に投影して「学歴が低いと劣等感に繋がる」という考えを、子供が持っていると認識する

などが例に上げられます

ちなみに、上記の例で

・不倫がバレると「お前が悪い!」とパートナーの責任だと主張する

・子供が「学歴に無頓着」と知ると「いかに学歴が大切か」を力説する

のように「相手が本当にそう感じる、そう思うように」働きかけるのは

「投影同一視」と言われます

日常に転がっているみたいです

さて、私の場合ですが「誰かに感謝する自分」が嫌いなのでは無く(いくら何でも拗らせ過ぎでしょ…)

「Hyper Activityモードの自分」は、自分で嫌悪している/なんとかしたい自覚があります

恐らく否定したかったのは、この自分の資質

ADHDの特徴の1つに「急にドーパミンが一気に出て、意欲的/行動的な状態が数日~十数日続く状態になる」時があります

「無意識にアクセルが全開になる」と私は表現しています

ADHDの「H」、過活動(Hyper Activity)の部分です

私の場合、知らない間にスイッチが入り、自覚がしにくく

「意欲的/行動的になる程度」で止まれば良いのですが

アクセルを踏みっぱなし状態が続くと自他境界線が曖昧になり、人間関係のトラブルを起こしやすくなります

自他境界線が曖昧になっている状態の方は大勢目にしてきて「扱いがわからない」というのが正直な所

その状態になるのは仕方無いなあ、と思いつつ「自分は極力その状態になりたくはないなあ」も同時に思っています

※説明が長くなるので「自他境界線」の概念は末尾にあるURLリンクの参照をお願いします

そして、アクセル全開状態/ドーパミンがいつまでも出続ける訳も無いので、切れた瞬間に「抑うつ状態」に陥ります

自覚した時は「意識ブレーキを踏む」をして、過活動状態、抑うつ状態の波を抑えれますが

今年1月中旬、10年に一度の大寒波が来た時にブレーキ掛けれず限界まで上がって破滅して、抑うつ状態が冬場ずっと続いてました

多分体調は回復に向かっていますが、またやらかしたくないので

意識的にブレーキを踏む対策として、取り敢えず「~したい!」が心に湧いたと自覚した時は

・「~したい!」にすぐに従わないようにする

・「HyperActivityモードに入った警戒アラート」を自分に鳴らす

この2つを意識してました

今回も「数年振りに恩師に逢いたい」と心に湧いた瞬間「ああ、HyperActivityモードになっているな」と意識的にブレーキを掛けて、即決しないで数日寝かせて自分で作った用事でした

その「逢いたい!」はブレーキを掛けれたんですが「感謝を伝える手紙を書きたい」にブレーキを掛けれず、勢いで下書きを書いて

翌日に下書きを読み返してたら「投影」したぽいです

調べると、投影を自覚した時の王道の対処方法は「否定している自分の気持ち、資質を認める、許す」のようです

私の場合はどうしたら良いんだろう。意識ブレーキは、掛けないと事故るのだが…?

まあ、私は「意識ブレーキを掛けられず「~したい」を即決した場合、投影しちゃう事を念頭に置いて、都度対処する」って感じでしょう…

頑張れ私のメタ認知!ですね…!

読んで頂いた方が「投影」という概念を知って頂けて、楽になる事があれば書いた甲斐があります

ではまた

参考資料

投影|心理学用語集サイコタム

https://psychoterm.jp/clinical/theory/projection

心理学用語「投影」を優しく解説!|嫌いな人はあなたの鏡?!|【対処法あり】

心理学用語「投影」をやさしく解説!|嫌いな人はあなたの鏡!?|【対処法あり】 | Page 2 of 2
「投影」とは好ましくない状況に直面した時に、不安や恐怖などを軽減させようとする心の動きで、全ての人に存在しています。投影は、誰の心にも備わっている防衛機制が原因。「嫌いという気持ち」「相手を裁きたいという気持ち」「腹立たしいという気持ち」「疑う気持ち」など日常に湧く気持ちの中に投影は潜んでいます。この記事では、日常の投...

誰にでもいえる自他境界のお話

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